私はIT業界でフルタイムの仕事をしながら2019年から通信制の大学カリキュラムに取り組んでいます. この記事では私自身の経験に基づき,大学の選定方法や入学後の実態を紹介します. 記事の内容は不定期に更新する予定です.
大学の選定基準
私は帝京大学 理工学部 情報科学科 通信教育課程に所属しています. 帝京大学 情報科学科は通信制でありながら「工学」の学位を得られる学科です. 大抵の通信制大学が経営,経済やその他文系の学位取得にターゲットを絞っている現状では稀少性があります. コンピュータサイエンスに繋がる数学をやりたくて大学入学を決めた私としてはこれが決め手となりました. (経済学でも数学をガンガン使うことを知るのは大学入学後です) 学習形態は違えど現役の通学生と同じカリキュラムで同じ試験を受けることになるので,通信制だからといって金で学位を買う事にならないのも魅力的でした.
他に選択肢に上がった大学
履修登録
まず大学卒業に必要な124単位を取得するためのnヶ年計画が必要です. 難易度が読めなかったので4年で卒業する前提で計画を立てて後に修正する方針で進めます. 帝京大学ではIPAの情報処理資格やTOEICのスコアを学位に変換できるので,それを考慮すると私の場合は1年に24単位(12教科)の修了が目標になります.
つぎは1年間で12教科を終わらせるための計画を立てます. これが毎年の履修登録に反映されます. 履修登録した以上は修了させないと最終成績に影響するので過不足の無い計画が求められます. 科目毎の難易度を3段階に分けて積算し四半期の負荷が現実的なものになるように計画を立てました.
- 1年目
1年目は科目の難易度が読めないので気休めのようなものです. 例えばプログラミングの科目は実際2週間で終わらせる事が出来ましたが,物理学は3カ月ぐらい掛かって結局落第しました. 社会学はそもそも時間が足りずに着手する事さえできませんでした. 2期に会社の新入社員研修を担当して,そのコンテンツ作りにプライベートの時間を割き過ぎた事も一因かと思います.
- 2年目
1年目の反省を活かして履修登録を10教科に減らしました. まずは社会学と物理学を確実にフォローして,そのうえで各教科にじっくり時間を掛けて取り組む計画です. 微分積分は残念ながら試験で落第しました. レポート課題では1つの問題にA4を何ページ割いても構いませんが,試験では必要最低限の記述を時間内に済ませる必要があり,私にはその練習が足りなかったのです. レポート課題を終えた後の試験対策勉強の必要性を感じました. とはいえ基本的には無理なく学習が進み2020年度の成績優秀奨学金も頂けたので,私には1期あたり3人月の学習が向いているようです.
- 3年目
微分積分は試験対策だけで良いと考えていたので,それ以外に10教科を選定しました. 3年目になると大部分の科目が配布済みとなっており,選択肢の幅が広がります. 無作為に学習すると効率が悪そうだったので電気系の知識習得をメインテーマに据えつつ,比較的苦労せずに習得できそうな教科を選ぶことにしました.
2021年8月時点で既にオートマトンとディジタル通信の学習に遅延が発生しています. 情報科学演習の提出物が多くて想定以上に時間を掛けてしまった事が原因です. 難易度設定では理解し易さだけでなく提出課題の分量も考慮すべきです. 履修登録前にシラバスから課題提出量を読み取ったり,必要に応じて担当教員に事前質問しても良いかもしれません.
学力の推移
私の最終学歴は高校で,その後は学問というものに一切触れず生きてきました. 帝京大学 情報科学科はA4用紙1枚の作文で入学できるので申請は問題ありませんが,勉強についていけるかどうか心配していました. 結果は「案ずるより産むがやすし」 TOEICの勉強と並行してそれなりに満足いく結果が出ています.
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2019年04月 三角関数の概念すら分からず大学のテキストを読み進められない. かろうじて二次方程式の因数分解は出来るが解の公式などはすっかり忘れている. シグマベストの理解しやすい数学Ⅰ+AからⅢまでを購入して高校数学をやり直す.
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2019年07月 基本数学の科目習得試験に合格. 大学の入門用テキストを読み進められる様になったが,数学特有の言い回しはまだ苦手. 集合や合同という単語が出てくると文意を捉えられない.
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2019年12月 論理数学の科目習得試験に合格. 主に集合の扱いについて学び数学特有の言い回しを何とか理解できるようになる.
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2019年02月 微分積分の科目習得試験に合格. 入学する前から「微分積分が出来るようになりたい」という目標があったので感慨深い. 大学のテキストはいたるところに微分積分が出てくるので読める範囲が格段に広がった.
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2020年07月 物理学の科目習得試験に1年越しで合格. 各種方程式を暗記するのではなく方程式が意味する現象をイメージできるようになった事が大きい. 微分積分を修了してから取り組んだ方が効率が良かった.
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2020年09月 応用数学と離散数学の科目習得試験に合格. 離散数学では紙とペンを使ってRSA暗号の暗号化と復号を実践できるようになる. 入学理由のひとつ「中国剰余定理を理解して使えるようになりたい」も達成できた. 応用数学では微分方程式の解法にラプラス変換とフーリエ変換を使えるようになる. この時は正直暗記科目として試験をクリアした.
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2021年02月 数理統計学の科目習得試験に合格. 組み合わせでしょ?と高を括っていたら微分積分などをゴリゴリに使う数学科目だった. この辺から1年次の基礎知識を前提とした科目が増えてくる.
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2021年03月 英語の単位はすべてTOEICスコアを変換する予定なのでそろそろ取り組み始める. まずは知っている単語を増やすことに力を入れる方針でDUO 3.0を購入して1カ月ほど試験対策. TOEIC LRテスト 455点
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2021年05月 入門用にはDUO 3.0よりも銀のフレーズの方が良いと聞き乗り換える. abceedに銀のフレーズを入れて基本の400語から発展の100語まで全て流せるようになっておく. TOEIC LRテスト 555点
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2021年07月 TOEIC対策に殆ど時間を割けず点数が下がることも覚悟していたがほぼ変わらない結果. Readingが苦手なのでそろそろ文法に力を入れる時期だと感じる. TOEIC LRテスト 580点
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2021年08月 通信工学の信号解析でフーリエ級数,フーリエ変換を多用する. 1年前は暗記で乗り越えたフーリエ変換だったが流石に理屈を理解して使えるようになった.